政治学3

1-2-4不平等の現実〜今の日本は果たしてどうか?〜

一般論では
工業化が進むと政治的資源は拡散しやすい。
→逆ではないのかという疑問。
工業化すると貧富の差が拡大するため政治的資源も集積するのではないか?
しかし、農業社会では土地の大きさで収入や高等教育などの持っている政治的資源が決められてしまう。
反対に工業化することによってお金を稼ぐ方方が多様化し、高等教育を受ける人が増える+国などが大学などを設立するためお金がなくとも受けることができる。また名誉なども多様化する。

実際は?

「社会階層と社会移動全国調査」(SSM調査)*1
所得格差の変化(単位万) 1955 1965 1975 1985
最上層(上位1/4)*2    34.1 100.0 358.7 695.7
最下層(下位1/4)*3    13.1 45.0 180.8 333.0
格差                2.6 2.22 1.98 2.09
95年以降を求めるときはジニ係数を使う。(分布のばらつきの大きさを測るものらしい)
0≦ジニ係数≦1
で1975年から1985年の間は0.26から0.27の間1985から1995の間は0.32から0.37の間で推移していて格差は開いているとのこと。
所得だけでは政治的資源が分散しているかどうかを判断することはできないのでクラスター分析を使い教育・所得・職業威信で分析をしてみる。
日本には6つのクラスターがあり。
1教育が高く所得もやや高く職業威信も高い
2教育が低く所得も低く職業威信も低い
A教育は高いが所得が低く職業威信も低い
B教育はそこそこだが所得が高く職業威信が高い
C教育はそこそこだが所得が高いしかし職業威信は低い
D教育そこそこ所得もそこそこだが職業威信は高い
の6タイプになる。そのうち1と2は高いか低いかでABCDはあるものは高いがあるものは低いというものである。
1と2を一貫グループといい。ABCDを非一貫グループという。
そのうち一貫グループが高いと政治的資源が集積していると言え反対に低ければ拡散していると言われる。
日本では、
     1955 1965 1975 1985 1995
一貫    51.8 40.5 34.8 30.0 38.2
上層一貫 11.8 08.3 12.6 20.0 22.9
下層一貫 40.0 32.2 22.2 10.0 15.3
非一貫   48.2 59.5 65.2 70.0 61.8

このように1995年から一貫が増え始めている。それは最近の勝ち組み負け組みなどの風潮からもわかるとおり。
階層分化が広がりだし世代間で継承されることがすでに言われている。それは日本だけではなく先進国共通である。
日本において政治的平等はかなり危ういものになっているのかもしれない。

*1:Social Strata Mobilityの訳で1955年から10年おきに調査される

*2:上位所得者の平均年収

*3:下位所得者の平均年収