ロシア学校占拠事件

 死傷者8割近く!人質事件でここまでひどくなった事件は初めてじゃないかと思ってしまった。ここまでひどくなった原因は間違いなく犯人側にある。政治的なことを考えれば正直どっちもどっちだと思うのだがあくまで事件ということで考えれば犯人側である。

 理由は1200人という人質の数である。それを約30人で押さえ込むということからすでに無理が生じている。一人で40人を四六時中監視しながら外からの突入に注意しなければならない。たとえ人質を人間の盾にしてもである。
 ありえない話ではあるが、可能性として報道から遠ざけて人間の盾を排除して突入することも考えられる。そういう可能性がある以上犯人側の神経のすり減らし方はかなり異常だったと考えられる。だから騒いだ子供を殺すなどということを行ったと考える。ストレスの溜まっている中で子供の泣き声はこれ以上ないほどの騒音だし、ここまで考えていたかどうかはわからないが、監視する人間の数が減る。それにやはり示威行動という意味もあっただろう。

 そもそも人質事件というのはかなりの大博打である。だってすぐに警察、今回の場合は軍隊という法治組織によって包囲されるのだ。しかもかなりの大部隊に。もちろんそれは犯人にとっては予想済みの話である。人質を取ることの利点が武力では絶対に勝てない相手に手を挙げさせないことを目的としている。いうまでもなく、武力で勝てるのならば普通に戦えばいいだけだ。それができないということは自分たちのほうが劣勢だと証明している。
 話がそれた。用は始めから劣勢なのにさらに劣勢にするようなものなのだ。それほどの危険を冒してまで要求したものが仲間の釈放と露軍のチェチェンからの撤退である。それが叶えられるはずがないのはわかっていなかったのだろうか。要求とはあくまで交渉の一要素である。だが、もちろん交渉には相手がテーブルにつくことが条件となる。今回が交渉とは言えるのだろうか、そんなことは談じてないといわざるを得ない。交渉には譲歩が必要だがそれを感じることができなかった。正確には指定された小児科医が譲歩案を出したらしいがそれを拒否したらしい。提案を出したのは向こうなのだが……

 交渉の余地はないってことですか……?

 YesかNoというのは交渉とは言わない。それは脅迫である。いや犯人は脅迫しようとしていたのか。ならばなおのこと犯人の行動に意味がなくなってしまう。だって自分より圧倒的に強い相手に無理な脅迫して成功する例がどれほどあるかなど……

 それに政治家であるプーチン大統領が1200人の人質と将来の利権どちらを選ぶのか考えれば答えなど簡単にでるはずなのだが……
 それでも彼らは諦めることをしたくなかったのだろう。従属より独立を望むことは正直すばらしいと思う。もっとも手段は最悪だが。